『クロスバイクに乗りたい』『買いたいけどよくわからない』という方の中、必ずといっても良い程、候補が上がるのがGiantのEscape R3とRX3です。
どっちが良いのか?とか違いがあるのか?Escape R3とRX3を比較してどっちが良いのか見ていきましょう。(2018年モデル比較)
Giant Escape R3
Giantのクロスバイクの中でも『定番』フラッグシップモデルとして君臨しているのがEscape R3です。
値段帯は税抜き5万円台で、『安くはないけどしっかりとしたクロスバイクに乗りたい』正に初心者向けに販売されているモデルです。
コストパフォーマンスにも優れている点から『悩んだらEscape R3』とも言われるほどになっています。
主なスペック(2019年)
- フレーム:Aluxxグレード アルミフレーム
- フォーク:クロモリフォーク
- ディレイラー:F シマノターニー/Rアルタス 3×8速
- レバー:シフト ブレーキレバー EF-500(シマノアセラ)
- ブレーキセット:テクトロ RX1
- フロントクランク:プロホイール
- ホイール:giant spinforce
- タイヤ 28c
- 重量:10.7kg(465mm)
同じ値段帯の物なら、他にも沢山あります。R3の値段帯でお探しなら。
Escape RX3
Escape R3をよりスポーティーに、アグレッシブな走りを実現するクロスバイクとして販売されているのがEscape RX3です。
値段帯は税抜き6万円台で『もう1ランクの走り』を楽しむことができるGiantのクロスバイクの中でも一番の売り上げを出しているRXシリーズの一番下のグレードとなります。
Escape RX3もコストパフォーマンスが良い事から『出来れば速く走行できるクロスバイクが欲しい』という方に人気のモデルです。
主なスペック
- フレーム:Aluxx-SLグレード アルミフレーム
- フォーク:アルミフォーク
- 変速機能:F アルタス/R アルタス
- レバー:シフト アルタス/ブレーキ アリビオ
- ブレーキセット:テクトロ TB07AL
- フロントクランク:FC-T3010(アセラ)
- ホイール:Giant S-R3
- タイヤ 28C
- 重量:10.5kg(465mm)
EscapeR3,RX3を比較
お互いのスペック、概要を確認しました。実際に試乗した感想も踏まえ、R3とRX3を比較してみましょう。
フレーム
Escape R3がAluxxグレードのアルミフレーム、RX3がAluxx-SLグレードのアルミフレームです。
アルミ番手で言えばR3=6061ALでRX3が6011ALとなります。
6011ALの方が固く、薄く成形して軽量に作りやすくすることができます。
かといって6011ALは6061ALと比べると乗り心地は硬い、ロングライドを続ける上で6061の方が乗り心地がマイルドになりやすく6011アルミは体力のない人にとっては疲れやすいアルミとも言えます。
軽量でスポーティーな走りを期待するか、アルミで妥協されつつある乗り心地を少しでも欲しいか。となります。
なおAluxx-SLアルミはGiantの15万代のロードバイクにも使用されていて、信頼性は高いです。
Aluxxグレードアルミ
- 番手6061AL
- 6011ALよりは乗り心地が良くなる
- 安価なクロスバイクのフレームに使われているアルミ
- 軽量化しにくく、安価の為溶接跡も目立つ
Aluxx-SLグレードアルミ
- 番手6011AL
- 6061より軽量で薄いフレームを作っても強度が出る
- 中級グレードのクロスバイク及びロードバイクに使われているアルミ
- 反面乗り心地が固くなりやすい
フォーク
Escape R3がクロモリフォーク、RX3はアルミフォークです。
乗り心地で言うならクロモリフォークの方が圧倒的に良く、ベントフォークという事もあり快適に走行できます。
反面瞬発力に弱く、アルミフォークのように軽い力でスッと加速する事が出来ません。
アルミフォークは乗り心地は悪くなりやすく、ロングライドをしていると手が痛くなる場合もあります。
加速に忠実、ダイレクトに現れやすく乗り手の人次第で簡単にスピードを出す事も可能です。
クロモリフォーク
- 乗り心地が良い
- 加速、瞬発力に弱い
- 安価はクロスバイクに使われている
- 錆びてしまう可能性もある
アルミフォーク
- 乗り心地が硬い
- 加速、瞬発力に強い
- 安価、中級グレードクロスバイクに使われている
- 手に振動が伝わりやすい
変速機能
R3=フロント、ターニー/リア、ターニー
RX3=フロント、アルタス/リア、アルタス
試乗した感じほぼ変わりなし。強いて言うならリアの変速はアルタスを積んだRX3の方が良いでしょう。
フロントに関してはターニーやアルタス、アセラ、アリビオグレードは変わりないと考えられます。
変速機能がR3=リア8速、RX3=リア9速なので、後々アップグレードしたりこまめなシフトチェンジで快適性を損なわない走りをしたい人はそこで考えてみると良いでしょう。
シフトレバー、ブレーキレバー
R3はシマノのアセラグレードのブレーキとシフトレバー、RX3はシマノのアリビオグレードのブレーキとシフトレバーです。
正直R3もRX3も最低限の条件はそろっていて、どちらにしてもふにゃっと感はありますしアリビオグレードの方が優秀か?と言われてもこれといった特徴もありません。
レバーに関しては”ほぼほぼ一緒”と考えていても良いでしょう。ふにゃっと感を改善するにはDEOREグレード以上のシフトレバー、ブレーキレバーの交換が必須となります。
ブレーキセット
R3がテクトロ RX1、RX3は2019年モデルから857ALからTB07ALに変更されました。
RX3に関してはグレードダウンとなります。TB07ALのブレーキシューはリムへの攻撃が強いですし。
Giantに良く使われているテクトロのブレーキで販売されているモデルですが、テクトロのVブレーキはVブレーキ自体の制動力は強いので心配する事はないが『ブレーキがロックする限界までの調整がほぼなくて非常にしょぼい』ので、仮にロングライドとか足が慣れてきてスピードが出せる様になってきたらDEOREグレード以上のブレーキセットに交換するのが無難です。
フロントクランク
R3がプロホイールのクランク、RX3はアセラグレードのクランクです。
シマノの下位グレードでもアセラグレードというのは軽量化が図られたモデル(アセラのリアディレイラーはXTRに次ぐ軽量モデル)で、フロントクランクもホローテックではないもののそこそこ軽量化が図られています。(といっても1kgオーバー)
R3のクランクのプロホイール、通勤通学街乗りなら充分ですがロングライド等長時間を想定した走行には不向きです。重たいですし。
クランクに関してはEscape R3、Escape RX両方『想定されている走行シチュエーション』に合わせて装備されているので、それにそぐわないシチュエーションを行う場合(R3でヒルクライムとか)は交換が無難ですね。
RX3のアセラクランクはそこそこ走りますし、足が慣れてくれば30km巡航も可能なので初めからシマノ製のクランクが良い人はRX3でしょう。
ホイール
R3がspin Force、RX3がS-R3です。
両者ともに言えることが30km以上からスピードが乗りにくいホイールです。
逆に言えば、ストップ&ゴーの加速に対して瞬発力を出してくれるホイールと言えます。
どちらも『無難』の一言。強いていえばS-R3の方が一時期Giantの中級グレードのロードバイクにも採用されていたので、それなりの信頼性と転がりがあるくらい。
特別交換する必要もなくコスパ以上の働きを行ってくれるでしょう。
その他etc(重要)
スペック以外でR3とRX3の違いは以下の通りです。
- シートポスト
- サドル
- ケーブル周り
- グリップ
となります。一つずつ見ていきましょう。
シートポスト
かなり重要な部分で、R3は31.8mmの○パイプのシートポストだが、RX3はD-FUSEというD断面になっているシートポストです。
D断面にする事でシートポストをしならせて乗り心地を改善する様に開発されたシートポストだが、RX3だとほぼ皆無に近い。(RX2のカーボンシートポストで効果が実感するレベル)
簡単に言えば、R3は通販でも売っている社外メーカーのシートポストに交換できるのに対してRX3はD断面のシートポストしか交換できないので、Giant製品以外の社外メーカーのシートポストに交換する事が出来ません。
RX3にとってデメリットとなるかメリットとなるかは購入者次第なので何とも言えません。
サドル
R3がCOMPACT LITE、RX3はCONTACT COMFORT NEUTRALです。
簡単に言えばR3がフワッとしたスタンダードのサドルで、RX3はロードバイクに近いスポーツサドルです。
R3の方が乗り心地が良く、尻が痛くなりにくいのに対し、RX3はくぼみもあり男性のデリケートゾーンが当たらない様に工夫がなされています。
僕はRX3乗っていますが、サドルは交換してしまいました。50kmも走ると自然と尻が痛くなります。というか硬い。
クロスバイクのサドルをロングライド用に交換、快適性や効果は?
ケーブル周り
R3は通常のクロスバイクでも使われる外装ケーブル、RX3はフレームに内装するケーブル方式をとっています。
内装ケーブルの方が汚れや劣化を防ぐ事が出来るのでRX3に軍配があがります。
しかしロードバイクの一部では内装ケーブル=レバーのタッチが変わる。とされていて、外装ケーブル方式にこだわるロードバイクもあります。
レバーのタッチに関しては外装ケーブルの方が良いでしょう。といってもR3とRX3で違いがわからないと思いますが。
グリップ
ハンドルを握る部分であるグリップ、R3はそのままはめ込まれたスタンダードなグリップ、RX3は長距離でも疲れにくい幅広のエルゴグリップが使用されています。
使ってみた感想だと、RX3のグリップの方が楽です。
R3.RX3どっちが良い?
スペックや主な違いを確認しましたが、R3,RX3どっちが良いのでしょうか?
使用用途に基づいて比較してみましょう。
通勤通学、街乗りなら….
どちらでも良し!!クロスバイクを購入したい値段で相談してR3でも良いですしRX3でも良いでしょう。
軽い気持ちで乗り回すならR3の方が無難です。RX3はスリックタイヤなので雨のシチュエーションに苦手。
ポタリング、サイクリングなら….
どちらでも大丈夫!!だけど舗装された道がメインなら純正タイヤがスリックタイヤを装備しているRX3の方が快適に走行する事が出来ます。
逆に言えば、ちょっとした砂利道も走るならR3の方がクロモリフォークで乗り心地を損ないにくいでしょう。
長距離、ロングライドなら….
RX3をおすすめします。スリックタイヤにエルゴグリップ、装備もシマノ製で固まっていて安心してロングライドが楽しめます。
かといってR3でロングライドが出来ないわけではないので、R3でも可。
カスタマイズなら….
RX3がおすすめ。6011ALのフレームにシマノ製のコンポーネントなので交換しやすいです。
しかし、ジオメトリーを考えるならR3の方が良いかもしれません。R3とRX3、同じサイズ(S.M.L)で比較するとRX3の方がトップチューブが10mm長いんですよ。
何を意味するかというと、例えばシクロクロス化やドロップハンドル化をする時、トップチューブが長いと短いステムで調整しないとハンドルの位置が遠くなってしまいます。
その点で言えばR3の方が10mmトップチューブが短いので、ステム調整の幅が広がります。カスタマイズを考えているなら敢えてサイズの小さいモデルを検討するのも良いでしょう。
ヒルクライム、ダウンヒルありきのロングライドなら…..
RX3一択。R3のフレームだと非常に怖いです。RX3だと頑丈な6011アルミフレームが使われているので大丈夫でしょう。
かといってオフロードのヒルクライム、ダウンヒルは無理です。おとなしくマウンテンバイクを買いましょう。
まとめ
使用用途に対して、求められるスペックの条件に達しているか?がどっちを選ぶかの基準となると思います。
スポーティーに走りたいならRX3、通勤通学、街乗りならR3と定番のフレーズの意味がわかると思います。
見た目だけならRX3の方がかっこいいですが。