長年クロスバイクのブレーキシステムを担ってきたVブレーキ。
単純な構造ながら安価なグレードでも確かな制動力と部品点数の少なさにリーズナブルな価格から、エントリーグレードのクロスバイクのコストカットするパーツの一種とされてきました。
僕が乗っているクロスバイク、Escape RX3(2018)にもVブレーキが使われています。
しかし2019年モデルを皮切りに、Vブレーキからディスクブレーキを装備したクロスバイクがラインナップとして現れはじめました。
今後Vブレーキはディスクブレーキに置き換えられる?
そもそもVブレーキは1990年後半にシマノがマウンテンバイクに搭載し販売したことから普及が開始したブレーキシステムです。
リムブレーキの中では圧倒的な制動力を持っていたカンチブレーキにメンテナンス性等を考慮した結果、Vブレーキが生まれたと考えられます。
Vブレーキ自体はシマノの商標製品ですが広く認知されたことでVブレーキと呼ばれるようになりました。
言ってしまえば初めから普及する気があったのはシマノぐらいで、そこからテクトロ等の下位グレードブランドが追って製品化しました。
キャリパーブレーキと比べて泥やオフロードのシチュエーションに強く、クロスバイク級のタイヤなら履けることができる事からクロスバイクに標準装備する流れを作りました。
しかし2019年モデルからディスクブレーキが本格的に採用されるようになりました。
これは普及の兆しです。
TREKはクロスバイクの9割をディスクブレーキに。
MERIDAも製品末尾にDを追加しディスクブレーキ搭載モデルを9割に。
Giantは2019年モデルにRX-Discを追加、2020年モデルで普及する可能性。
どんどんVブレーキモデルが消滅する流れになっています。
シクロクロス、グラベルロード、MTBは完全にディスクブレーキに移管
キャノンデールやスペシャライズド、GT等々…..
各メーカーのラインナップを見ていてもシクロクロス、グラベルロード、MTBといったオフロードを想定している本格スポーツバイクは全てディスクブレーキに装備移行が完了しています。
もはやVブレーキおよびカンチブレーキ搭載のモデルを探し出す方が難しい状況になっています。
ロードバイクにもディスクブレーキを搭載する流れがごく一部広まっている事から、一足先にVブレーキの需要は無くなるかもしれません。
Vブレーキが無くなる可能性がある理由
ラインナップにディスクブレーキモデルが販売されるからVブレーキが無くなる、といった理由だけではありません。
どうしようもない状況の中に今Vブレーキが存在しています。
クロスバイクにVブレーキのラインナップが無くなるのもそう遠くありません。
Vブレーキのアップグレードは終了している
Vブレーキ自体のラインナップのアップグレードが終了しています。
シマノのホームページを見てみるとMTB用のコンポーネントは全てディスクブレーキシステム、ロードバイクでもディスクブレーキとキャリパーブレーキがアップグレードをされている状況です。
Vブレーキは?というとトレッキングのコンポーネントのラインナップにすら存在が消されています。つまりVブレーキのアップグレードは終了していることになります、
少し振り返ってみましょう。
例えば僕のEscape RX3に取り付けられているシマノのDEOREのVブレーキ。
ラインナップの中で一番新しいのがT-610が最新です。M用にすると610シリーズです。
今のMTBコンポ(2019年3月30日)のDEOREグレードで一番新しいのがM617、つまり第7世代まで来ています。7世代前でVブレーキのアップグレードは終わっていることになります。
これには理由があり、元々リムブレーキの中で制動力の高いVブレーキをアップグレードしようがないんですね。アップグレードするとしても部品の原価を安くするとかブレーキパッドの素材をかえるとかレバーの効き具合をさらに細かく引けるようにするとか。
でもそれを行なった所でロードバイクのようにコンポーネント一式購入して交換するようなユーザーは珍しい方ですし、ディスクブレーキの方がオフロードでも活躍する、同じ規格にする事で原価を安く抑えられる、という背景からVブレーキのアップグレードをする必要がない、と結論づけていると考えられています。
事実テクトロのVブレーキでもクロスバイクなら問題のない制動力と運動能力を発揮しますし、少し不安に感じるなら前後4000円で買えちゃうDEOREグレードでそれ以上はオーバースペックになります。
そう考えるとアップグレードしなくても必要な人だけ上位グレードに交換してくれ!でも良いわけです。
ロードバイク用のフラットバーブレーキレバーが廃盤になりつつある
シマノのホームページ状にはアルテグラおよび105といったロードバイクコンポーネントにフラットバー用のブレーキレバーがラインナップされています。
このフラットバー用ブレーキレバーはVブレーキやカンチブレーキも引けるレバーで、クロスバイクをフラットバーロード化する時に大変重宝します。
しかしアルテグラ、105グレードのフラットバー用ブレーキレバーは恐らく製造を終了していて、販売されている在庫のみで廃盤といった状況になっています。
AmazonでBL-R780やBR-R573で検索をかけてみると
- お取り扱いしていません
- マーケットプレイスのみ販売
という状態でAmazonが在庫を仕入れて保管していない状況です。AmazonPrimeに在庫を抱えていない=仕入れられないという事なので廃盤になっているのでしょう。
現在ロードバイクでフラットバー用のブレーキレバーはティアグラのBL-4700のみです。Escape RX1でも標準装備されていることでお馴染みです。
理由は恐らくフラットバーでアルテグラや105といったレーススペックのブレーキレバーやVブレーキはオーバースペックだからだと思います。
後は需要の問題、105やアルテグラならキャリパーブレーキ用を揃える人の方が多いですしVブレーキを105にする人の方が少数派なのとDEOREグレードが生きているので廃盤にしても良い、という判断だと考えられます。
コンパクトVブレーキはSORAグレードのみ
クロスバイクをドロップハンドル化するとき、STIだとVブレーキが引けなくなります。
その互換性を解消してくれるのがコンパクトVブレーキなのですが、SORAグレード一種類しかありません。
今後Vブレーキは無くなるの?
今後Vブレーキがなくなる可能性は非常に高いです。
しかし、今後1-2年後に完全に無くなる訳ではありません。
ある一定の条件をクリアした時に「もう無くなるかもしれない」と感じるものです。
そのある一定の条件を考えてみました。
ディスクブレーキの原価
普及の兆しがあるとはいえVブレーキほど原価が安くないディスクブレーキ。
ディスクブレーキが搭載されているクロスバイクのラインナップを見ても、大体7万円以上からの物が多く、まだまだ高嶺の花と言えます。
この原価の問題を解消して5万円台のクロスバイクにまで搭載できる安価なディスクブレーキが流通し始めれば、Vブレーキの存在を一気に無くすことになります。
サードパーティー(テクトロやPromax等)の努力が普及を大幅にかえると考えられます。
安いクロスバイクに搭載されたら需要が終わる
5万円台の普及が大幅にかえると言いましたが、例えばAmazonでも売っている3万円台のクロスバイクにもディスクブレーキが搭載され始めたらどうでしょうか?
1-2万円代のクロスバイクはVブレーキではなくキャリパーブレーキのモデルが9割を占めています。
3万円台のクロスバイクからVブレーキが通常の流れとなっているのでそれに置き換える形でディスクブレーキが装備されればVブレーキの立場は完全に終了するでしょう。
ロードのキャリパーブレーキの存在
ロードバイクといえばキャリパーブレーキが代表的ですよね。
細いタイヤにフィットするデザイン的にもかっこいいキャリパーブレーキですが、仮にキャリパーブレーキも取り扱いをやめてディスクブレーキのみになれば市場は大きく変わります。
全スポーツバイク統一規格になってしまうので、Vブレーキは必然的に使わないようになるでしょう。まあこの説はほぼ無いに等しい。
まとめ
Vブレーキの今後をお伝えしましたが、恐らく数十年後にはVブレーキは過去のブレーキシステムになっていると考えられます。
とはいえカンチブレーキですらまだ存在しているのでブレーキパッドの販売は継続されると思いますし、アップグレードしたい人向けに少量ながらDEORE以上のグレードは通販で流通するでしょう。
既存でVブレーキの自転車に乗っている人はまだまだパッドの交換やブレーキシステムの新品交換を心配しなくても良いと思います。
ラインナップから消されてしまう、という可能性があるとしたら答えはYes。ディスクブレーキに市場を食われてしまう形でVブレーキの役目は無くなるのもそう遠くないでしょう。
ディスクブレーキがどこまで原価を安いグレードが生まれるのか?安いクロスバイクに搭載され始めるのか?Vブレーキが無くなるキーマンは安いクロスバイクが関わってくると思います。