クロスバイクやロードバイクを購入する時、有名メーカーでも行なっているのが
「他のパーツはシマノ、ブレーキのみテクトロでコストカット」
ですよね。
スポーツバイクを初めて買う人なら「テクトロってなに?」ってなって、ネットで調べると出てくるのがテクトロはやめとけ!!だと思います。
そこでテクトロのブレーキは効かないのか?十分なスペックなのか?実際に交換してわかった違いをお伝えします。
そもそもテクトロってなに?ざっくり解説
テクトロのことを知らない人にざっくり解説。
テクトロは台湾に本社を置くブレーキシステムメーカーです。
自転車のブレーキなら、キャリパーブレーキ、ディスクブレーキ、Vブレーキと全ての規格を製造し、世界中で輸出されています。
テクトロ自体、安価なブレーキとして扱われることが多いですが、ブランドとしてTRPというレーシングブランド(テクトロレーシングプロダクト)も展開しており、信頼性はあります。
とは言え、安価なブレーキとして扱われる事が多く、自転車メーカーは出来るだけコストカットしたい時に、テクトロのブレーキが使われる傾向です。
コストカット=性能は度外視している事で、テクトロは効かないと言われる所以なのかもしれません。
なぜコストカットに使われるの?
なぜコストカットする時にテクトロのブレーキが使われることが多いのか?
理由は
- 自社製造パーツを持たない
- 提携および同じ地域で原価が安い
が挙げられます。
例えば、キャノンデールやスペシャライズドといった自転車メーカーに、テクトロのブレーキが使われていることが滅多にありません。
理由は自社でパーツを製造することで、コストカットが図られているからです。
こういった背景からテクトロのブレーキ=コストカットされる部分と言われると考えられます。
テクトロのブレーキは効かないのか?
結論をいうと効かないです。
当ブログではEscape RX3を介して「購入したらまずはテクトロのブレーキからDEOREのブレーキに変えた方がいい」と紹介しています。
よく「テクトロのブレーキでも十分だよ?」という方もいますが、それはその人が使うシチュエーションに対しテクトロのブレーキで間に合っていることが挙げられます。
また、効かない以外に様々な理由があって僕はおすすめしていません。
制動力が明らかに弱い
シマノのブレーキ等に比べて制動力が明らかに弱いです。
Escape RX3を購入してすぐに前後DEOREのVブレーキに交換しました。
で、DEOREのブレーキパットの寿命が来ています。
表面から見るとこんな感じです。
ほぼ溝がなく寿命が来ています。
でDEOREのブレーキパットの予備がなかったので、テクトロのブレーキパットに交換して60km走りましたが、
制動力が弱くて怖かったですね。
DEOREの場合、「これぐらい引けば制動力は確保できる」安心感があるのに対し、
テクトロの場合、「どこまで引けばちゃんと止まるの?」という不安があります。
DEOREに対して、テクトロのブレーキは一定以上引くと急に制動が増す、といったフィーリングで、ブレーキの引きしろ調整は難しいですし調整幅が極端で制動力が弱く感じられるのです。
これがテクトロのブレーキは効かない、と言われる理由だと思います。
ちなみに寿命がきてるDEOREのブレーキパットの方がブレーキ性能が上でした。
ちゃんと止まるまでの引きしろが長すぎる
「じゃあどれぐらいの引きしろで効くのよ?」と思いますよね。
走行中は撮影できないので、自宅からの撮影ですが、まずはDEORE。
まだまだ引きしろがあって、ブルホーンでも恐怖を感じられるようなことはありません。
DEORE自体、ちょっと引いただけでも効き始めるのが感じられるので不安もありません。
次にテクトロ。
もうブルホーンハンドルに当たりそうなくらい引かないとちゃんと止まりません。
めっちゃ怖いです。僕の家は坂の上にありますが、坂道を下っている時テクトロだと止まれるのかこれ?と不安になります。
結局リアブレーキを足してリアブレーキで調整してあげないといけません。
DEOREの時はフロントブレーキのみで坂道をゆっくり下れますが、テクトロの場合ズルズルとスピードを制御できないと感じます。
ちなみにリアブレーキはDEOREのブレーキパットで、まだまだ溝があるので使っています。
この引きしろで止まります。めちゃくちゃ余裕がありますよね。
まあリアブレーキとフロントブレーキで違うのでアレですが、リアブレーキもテクトロならフロント同様に引きしろが伸びると思います。
これには理由があって、テクトロのブレーキパットは完全にリムにパットが付いてから、パッと部分がたわむので更に引いてがっちり効くようにしないといけないのです。
テクトロのブレーキグレードによって変わるかもしれませんが、これは理由で効かない、といってもいいでしょう。
ブレーキダストも多い
また、テクトロのブレーキはブレーキダストも多く、ホイールがすぐ汚れてしまいます。
「他のブレーキも変わらなくない?」と思うかもしれませんが、DEOREに交換してから、室内保管で持ち運ぶ時ホイールで手が汚れたことがありません。
テクトロのブレーキの時は手が真っ黒になっていました。
これもテクトロのブレーキグレードによって違いがあると思います。
しかし、クロスバイクやロードバイクを購入した時に付いているテクトロのブレーキだとグレードはほぼ一緒なので、ブレーキダストが多いと感じると思いますよ。
テクトロのブレーキが想定している範囲がある?
テクトロのブレーキが効かない、止まらない、ではなく、
テクトロのブレーキが想定しているシチュエーションを超えている、が正解なのかもしれません。
例えばロードバイクで15~20キロ巡行ならテクトロのブレーキが許容できるスピードなので、性能十分と感じられます。
しかし30キロ巡行をすると、テクトロが想定している許容範囲を超えていることから、効かないと感じる事でしょう。
スポーツカーに軽自動車に使われている小さなドラムブレーキを装備してサーキットを走る様な感覚で、想定している許容範囲を超えている事からテクトロが効かないと考えるべきなのではないでしょうか。
とするとテクトロが想定している範囲がどれぐらいなのか?ですよね。
街乗り、足、軽いポタリング
おそらくテクトロのブレーキが想定している許容範囲は
- 時速23キロ以下の走行
- 街乗り、足代わりの運用
- サイクリングにしても軽いポタリング、スピードを出さないゆったりポタ
だと思います。
これは制動力が元々強いVブレーキでも同じ想定範囲だと言えます。
ロードバイクだとちゃんと走りたい、ロングライドする場合は105以上のブレーキに交換しますよね。
それは105以上が想定している許容範囲が広いですし、レースも出られるスペックなので制動力に信頼があります。
テクトロのブレーキ自体、レーシングブランドのTRPのブレーキ出ない限り制動力が弱いのは当然です。
テクトロのブレーキでも十分だと感じる人もいる理由は、想定されている範囲の中で乗っている、が言えるでしょう。
テクトロのブレーキでも十分な人はいる
テクトロが効かないということをお伝えしましたが、効かないと感じる人はテクトロのブレーキが想定している制動能力を超えた走行、シチュエーションで乗っていると考えられます。
もっとも「効かない!」と感じながらも、交換しないのは事故の元になるので、Vブレーキなら値段も安く中級グレードのシマノ DEOREを、ロードバイクならシマノ 105以上のブレーキに交換するべきです。
テクトロのブレーキって言ってみれば「スポーツバイク用の日用パーツ」な訳で、スポーツバイク用のスポーツパーツ、レースパーツではありません。
あなたがどういったシチュエーション、スピード、使用用途でクロスバイク、ロードバイクを使うのか?でテクトロのブレーキで十分なのか?交換するべきか考えてみるといいでしょう。
ちなみに僕はクロスバイクで
- ヒルクライム
- 70kmのロングライド
- 車道では25~30キロ巡行
とクロスバイクにしてはセミハードな使い方なので、テクトロからシマノのDEOREに交換したクチです。