昨今の健康志向やコロナの流行により、通勤通学を電車、バスから自転車に切り替える人も多くなりました。
自転車に切り替える時に、ママチャリではなくクロスバイク、ロードバイクに乗ってみたい、乗りたいと思っている人も少なくありません。
ロードバイクになると一般的に高額な商品です。10万ないし電動自転車を購入する並の金額は覚悟しないといけません。
しかし、通販の発達により安くロードバイクを買うことができるようになりました。
でも安いロードバイクにはルック車と呼ばれるものも多く存在します。
そこで今回ロードバイクのルック車はダサいのか?違いや見分け方、そして意外とおすすめな理由をお伝えします。
ロードバイクのルック車とは?
そもそもルック車という造語は、ロードバイクに当てはまりません。
ルック車の由来はMTB(マウンテンバイク)からきており、マウンテンバイクの形をしているにも関わらず、説明書に「この自転車での山の使用しないでください」と書かれている事から、ガワがマウンテンバイクだけの見た目の自転車=ルック車と呼ばれるようになりました。
マウンテンバイクといえば、ダウンヒルやトレイル等のアグレッシブな走行を可能とし、スポーツ、ホビーとしても人気の高い自転車です。
そんな自転車で使用できないのは見た目だけのハリボテです。
そのルック車という造語が最近になり、クロスバイクやロードバイクでも言われるようになったわけです。
ルック車がなぜ生まれたのか?
スポーツとして楽しむ事ができないルック車がなぜ生まれたのか。
答えは簡単で、
- 興味はあるけど細かい事はよくわからない、興味ない
- 安く手に入るなら乗りたい
- 通勤通学と軽めなシーンでしか使わない
という層が増加した事と、通販の発達により安価なロードバイク、マウンテンバイクの販売が可能となったからです。
値段さえクリアすれば、後は細かい部分に興味がない人は水を得た魚のように購入者が増えます。
ルック車にも需要があり、それが合致した事からルック車は生まれたわけです。
ロードバイクのルック車との違い、見分け方は?
マウンテンバイクの場合、山への走行を想定していない、使わないでくださいと記載されているというたった一つの項目のみで「ルック車」と判別できます。
しかし、一般的なロードバイクとルック車との違いは、差別化されていません。
なぜなら、ロードバイク=速度が出るのが代表的なイメージですが、ルック車でも頑張ればスピードが出るという根性論で片付けられるからです。
そこで、どこを見ればルック車と判断できるのか?細かい部分をみていかないといけません。
一つの項目が該当したらルック車というのではなく、総合的にみてクリアしていない=ルック車と捉えるべきです。
総重量
一般的なロードバイクは、安いものでも重量は10kg以下をクリアしているものが非常に多いです。
クロモリでも9.5kgだったりするものですから、ロードバイク=軽いものというのも代表的な例でしょう。
しかし、ルック車の場合、軽い素材を使えない事から10kg以上のものがほとんどです。
パーツ(コンポーネント)
ロードバイクにおけるコンポーネントの存在は、ブランド価値、スペックに値します。
代表的に挙げられるのがシマノ、カンパニョーロ、スラムといったメーカーのロード用コンポーネントが使われている事です。
ルック車の場合、パーツが
- シマノだけどトレッキング用コンポ
- サードパーティーメーカーのパーツ
- ママチャリに使われるパーツが取り付けられている
が挙げられます。
見た目は嘘をつけてもパーツは目でわかる部分です。ルック車との違いが明らかにわかる部分といえます。
むしろルック車はママチャリの規格が使われている事もあり、ロード用コンポが取り付けられない、アップグレードできないモデルも多々あります。
ルック車にありがちなのが、シマノの〇〇段変速!という謳い文句です。
一般的なロードバイクで変速数を自慢するモデルはありません。ある意味あの謳い文句がルック車の象徴とも言えます。
更に事細かくいえば、シマノでも105以上やレースで使われる上級パーツでないとロードバイクと言えない!という人もいるほどです。
それだけコンポーネントによる差別化はされています。
フレーム素材
一般的なロードバイクのフレーム素材に
- クロモリ
- アルミ
- カーボン
この3つが代表的に使われています。中にはチタンを使う事もありますが、まあこの3つというのも覚えておけばいいでしょう。
しかし、ルック車の場合、安く抑える為
- スチール
- 炭素銅
いわゆる鉄が使われている事が多い。安くてちょっといいものだとアルミですが、クロスバイクに使われるアルミを使っていたりします。
つまり、グレードの低い素材をフレームにしています。
結果的に重量も10kg以下の実現が難しいですし、ロードバイクのように軽い力で前に進む、といった事が難しい。
塗装から組み付け
フレームに素材のみならず、塗装から組み付けが雑く扱われているのもルック車の特徴、見分け方といえます。
一般的なメーカーのロードバイクは、一貫した管理の元工場で塗装から組付け丁寧に行い、販売店に出荷しています。
そして販売店で一度分解し、更に丁寧に組み付け、我々に供給されるわけです。
メーカーのロードバイクは基本スポーツ専門店での販売が多いため、高い水準を保っています。
しかし、ルック車の場合自社工場を持たない、受注工場の為専門のスタッフがいません。
当然品質にバラつきが出て、塗装ムラが多い個体、なぜか元々フレームがずれている個体と様々な個体が販売されることになります。
そして卸先は通販かママチャリをメインにしたお店です。
ママチャリをメインにしたお店だと売れれば良い!精神のお店が多く、雑な組付けがされていてもそのまま組み付けて販売されている事が多い。
そういったフレーム素材、塗装や組付けの精度がルック車と大きく違い現れます。
総合的な走行性能
総合的な走行性能というと
- 振動吸収性、乗り心地
- スピード
- 巡航性能
- 制動力
の4つです。
スピードに関しては先程でも挙げた通り、ルック車でも脚力次第でロードバイクと同じ速度が出せるという根性論がまかり通ります。
しかし、よく考えてみると「脚力次第」で同じ速度が出せるだけで、ルック車自体の性能とは言えません。
同じ人がルック車と一般的なロードバイクを乗り比べれば、確実に楽に感じるのは後者です。
ルック車は重量やパーツのグレードの低さから、ゼロ加速や急な加速はもっさりして疲れやすいと言えます。
振動吸収、乗り心地もルック車はスチールや安価なアルミが使われている事から、決して良いとは言えません。
そして巡航性能、一定の速度を何時間も維持するのはルック車でもできますが疲労度に大きく違い生まれます。
例えばエントリーロードバイクとルック車で平均速度25kmを維持してくださいと言われたら、楽に維持できるのは確実にエントリーロードバイクです。
これはフレーム素材やパーツの総合的な重量から、空力等様々な部分が作用してきます。
ルック車にはフレーム設計は基本他社メーカーのパクリないしコピーなので、フレーム素材に関する技術力がありません。例えばこの部分は薄く、厚め、広く等々。
最後に制動力、最近ならルック車でもディスクブレーキ仕様が増えてきましたが、それでも不安と言えます。
なぜならブレーキ関連はグレードで明らかに剛性の違いが生まれるからです。
ルック車でディスクブレーキでも剛性が低く、ブレーキシステム自体がよれる、歪みながらブレーキされる事もあります。
エントリーロードバイクの場合ほとんどがレースに出ても問題ない105以上のスペックで、ブレーキシステム自体がよれる事は非常に少ない。
また、キャリパーブレーキに関してもルック車だとママチャリやサードパーティーメーカーのブレーキが使われていて、制動力が低く止まらない事も多々あります。
そういった総合的な走行性能から、ルック車は明らかな違いがあります。
公式サイトの有無
エントリーロードバイクは必ず公式サイトが用意されていて、各モデルのスペックや技術等を確認することができます。
ルック車の場合、ブランドまたは受注工場での生産だからか、公式サイトが用意されていないものも多く、モデルのスペックをAmazonや楽天のみで記載されている事が多い。
仮に公式サイトが用意されていても、事細かくスペックが書かれておらず、何がなんだかわからない状態です。
でもルック車がおすすめな理由
エントリーロードバイクとルック車の違い、明らかにエントリーロードバイクの方が良いに決まっている中、ルック車はおすすめな部分も多いのです。
その理由の一つに、数年の通勤通学なら許容範囲という所です。
例えば出勤先が変わって2年だけ使いたい、高校の3年間だけ使いたい、中高の6年間は自転車で通勤しようと考えているなら、エントリーロードバイクを購入するよりルック車で十分という見解もあります。
なぜならエントリーロードバイクの下位グレードでも10万~15万、メンテで6年間は持つと思いますが、パーツの交換時期は必ず来ますしパーツ単体の値段が中高生には高い(シマノ ソラのリアディレイラーで3500円)ので、一気に交換時期を迎えると大きな出費となります。
代わってルック車、大体2~4万円で販売されていて、2万円のものを2年で新しいルック車に交換するとして考えれば、6年で6万円のみとなります。
ましてや通勤通学ならチェーンがジャリジャリ、ノーメンテ、自転車屋さんに丸投げ整備になるのがほとんどと言えるので、数年ならルック車の方が出費を抑える事ができるわけです。
盗難にあっても大したダメージにもならないですし。
とりあえず乗ってみたいで手を出しやすい
一般的なロードバイクとなると10万円以上は覚悟しないといけません。
10万円以上だとある程度の覚悟が必要ですし、飽きてしまったら痛い出費だしハマらなかったら結局宝の持ち腐れになります。
10万円あればゲームが好きな人ならPS5やニンテンドースイッチが買えますし、二輪バイクの免許だって取得しにいく事も可能。
10万円以上って色々な選択肢があるわけですよ。それをロードバイクの購入に踏み切るのは本当に好きだから、長く乗りたいからという気持ちがないと難しいと思います。
その点ルック車は安い金額で購入でき、安物だから別にいいや….って気持ちで乗る事ができます。
まあ「ちゃんとしたロードバイクに乗ってみないと楽しさはわからない」というのがありますが、とりあえず興味があって乗ってみたいならルック車を視野にいれるのはありなのではないでしょうか。
ロードバイクのルック車に乗るのはダサい?!
ルック車に乗る事はダサいと感じる人もいるかと思います。
実際ルック車=安物、ロードバイクでないという認識が強い事から、ダサいと感じ取れなくもありません。
しかし、ルック車は正直ダサいとは思いません。
ルック車はダサい=知っている人でないと気づかない
ロードバイクに興味がない一般人がルック車をみて「ダッセー」と思うでしょうか?
ダサいと感じるという事は、その人がロードバイクに興味があってある程度調べている事が前提に挙げられます。
で、ロードバイクに興味がある人は正直一握りレベルに近い、平日のサイクリングロードですらロードバイクにまたがっている人は少数です。
むしろウォーキング、ジョギングをしている人の方が多いですし、そういう人たちがロードバイクを知っているとは到底思えません。
都会に出ればその光景は顕著に現れます。ルック車って認識よりロードバイクだろうがクロスバイクだろうが「チャリンコ」って認識です。
つまりルック車はダサい=メーカーのロードバイクを乗っている、ロードバイクに興味がある人でないと気づかない、興味がないと言えます。
そして興味がない人の割合の方が多いわけですから、ルック車=ダサいと思っている人の方が少ないでしょう。
既婚者の男性が大型バイクの購入を奥様に理解されないのと一緒で、趣味の世界だから知っている人からダサいと思われているだけです。
まとめ
ロードバイクのルック車の見分け方、違い、ダサいのか?おすすめなのか?についてお伝えしました。
大きく違いはありますが、ダサいかと言われたらロードに興味がない人からすればダサいダサくない云々より「チャリ」って認識ですし、おすすめなのか?と言われたら通勤通学で使う分なら十分じゃない?というのが個人的な感想です。
趣味でロングライドとかするならエントリーロードバイクの購入の方がいいですし、ただの足程度ならルック車で構わない、その人の使い方次第という事でしょう。